第25号(2015年9月15日)

韓国と日本の歴史書からは日・中・韓三国間の交流史が読み取れる。古代神話には民族のアイデンティティが現れているが、嘘を混ぜたロマンは理性を麻痺させ続けるだろう。

そのことを深く考えさせる歴史研究書が刊行された。高橋義雄著『応神天皇の征服』がそれである。日本が韓半島との関係で繁栄がもたらされるターニングポイントが神功皇后の(腹の中の応神天皇を大将とする)新羅征伐だ。高橋氏は、そのドラマのプロット(筋)を逆転させ、事実に沿うドラマを提示してみせた。実は史実を逆転させていたのは『古事記』『日本書紀』の編纂著・太安万侶と権力者・藤原不比等であった。

応神天皇とは、韓半島の金官伽羅国初代王、首露王の日本名だという。首露王は建国からわずか十年で倭国を征服。和還・物部倭国王覇は、扶余の騎馬民族に屈服させられた。不比等や恒武天皇は、首露王の東征を神武天皇の東征として公認し、大陸とは無関係の天照大神を祖神とする“万世一系の天皇国家”を創作した。この古代史の握造が日本の国の形を歪め、東アジアに悲劇をもたらす根源となる。日・中・韓による歴史の共働研究は、未来共創のために必須の事業となってきた。

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