第17号(2014年3月31日)
韓国が実効支配している竹島(独島)は、日本と韓国のいずれにも、自国の帰属を明確にする文献がないという。「領土問題」とは国境線の正当性を主張しあう諍いであって、正答が用意されているわけではない。地理的に見ても韓半島と日本列島の真ん中辺りにあるのだから、両国が相談して賢く共有すればいいと思う。
▽そもそも「領土」といい「排他的経済水域」といい、いずれも海洋と海底鉱脈を「資源」と見なすようになった近代以降の発想である。その根底には、人間のために採(獲)れるものは何でも取り尽くすという修羅の強欲がある。その強欲こそが「殺戮の世紀」と呼ばれた二十世紀人類の悲劇の原因であった。
▽先般、嶺南大学の崔在穆哲学科教授(独島問題研究所所長)とお話をする機会があった。崔教授は、独島が韓国固有の領土であるとは言われなかった。「独島が韓国と日本の平和と共生の島になればいい」と。日本と韓国が近くて近い国になることこそが東アジアの平和と共存共栄への第一歩となることを洞察した、碩学の勇気ある発言である。日本海(東海)を韓国、北朝鮮、日本の核兵器なき友好の海に――。その目標を、先ず「日韓」で共有できればと思う。