第15号(2013年11月30日)

ある国際ビジネスマンが「韓国は楽しい地獄だけど日本は淋しい天国だ。私は楽しい地獄の方がいい」と言ったという。浄土真宗の開祖の親鸞に、弟子の唯円が「浄土に行きたいという勇躍歓喜の心が湧かない」と尋ねると、親鸞は「実は私も同じ不審がある。浄土が恋しいとは思わない。そういう煩悩具足の凡夫だからこそいよいよ往生浄土は確かだ」と答えた(『歎異抄』。)江戸時代、宗門は歎異抄を禁書とした。

▽冒頭の話は喜怒哀楽のある娑婆世界こそが面白いという人間の率直な思いが滲み出ている。韓国で「相生」という言葉を耳にした。医学その他の用語としても使われている。日本は「共生」で韓国は「相生」だろうか。同じ屋根の下で暮らしていてもお互い干渉せず、食事もそれぞれ勝手に食べる共生に対して、韓国人は相手のことが気になって仕方がない。良くいえば暖かい。わるく言えば構い過ぎ。

▽共生は忍耐強く静かだが不安で躍動感がない。相生には、うるさくても相手の心と生活の中に入り込んで交わって一緒に、という熱がある。

▽東京オリンピックが決まった。原発のゴミは福島に。日本という一つの国の中で明暗がハッキリ分かれているのは共生だろうけれど、やはり淋しい。

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