第13号(2013年9月30日)

安冨歩氏は、『世界』7月号の「先祖になれ!」で偽弁別の消息に触れている。

「反原発の原子力専門家として有名な小出裕章氏が『子どもたちや子孫のために脱原発、というのは何か違う気がする』と言っておられたのですが、まさにそうだと思います。(中略)こういう言葉は結局のところ空虚な欺瞞になってしまうのです」と

▽小出氏の逆説には真偽を見分ける鋭い嗅覚が働いている。地球環境の悪化がこのまま進めば人類に未来がないことは誰にも明らかである。だから、現代の危機を突破する新しい価値観が求められている。しかし、そもそも環境破壊の原動力となってきた思想とは何か?

▽目の前の利益を追うことで幸福が約束されると錯覚するマネー信仰(迷信)が先進国、なかんずく日本とアメリカの思想(と呼べるとして)なのである。「反原発」という人々の祈りをすら、秘かに事業に変え、その看板に「子どもたちや子孫」を掲げて拡大再生産を臆面もなく語る偽善は、自他共に欺く痼疾(こしつ)と言わなければならない

▽小出氏のような本物の仁者と偽物(ぎぶつ)を見分ける方法はあるだろうか。偽物(にせもの)は本物を本心では嫌う。光が出れば、闇をゼロにするからだ。偽物は本物を扱いきれなくなると地金(じがね)を出す。

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