第3号(2012年6月15日)

「現在生きている人で、私ほど戦争と、それが引き起こす破壊を経験した者は恐らく他にあるまい」(マッカーサー『回顧録』より)。

連合国軍最高司令官として日本占領政策を取りしきったマッカーサーは「原子爆弾の完成で私の戦争を嫌悪する気持ちは当然のことながら最高に高まった」と書いた

▽しかし、彼は朝鮮戦争の勃発により、またも戦争の指揮を執る。「戦争」行為は人類の宿業であって地上からなくならないと考えるべきなのか

▽紀元前3世紀頃、古代インドを統一したアショカ王は戦争に明け暮れ、「残忍アショカ」の異名をとった。しかし、カリンガ国征服で殺戮の限りを尽くして戦争の悲惨と残酷を目の当たりにした王は、武力による統治を放棄して、深く仏法に帰依するに至る。後年インドを訪れた玄奘三蔵は、アショカ王の建立になる百を超える仏塔の存在を伝えている

▽アショカ王の没後、インドの仏教は衰退したが、アショカ王の「回心」と「法による統治」の事実は永久に歴史に刻まれている

▽マッカーサーの統治下にあった日本は戦争放棄の平和憲法を制定。恒久平和を願う人々の祈りが籠められた九条には、日本が世界に誇るべき文化資源がある、と言えないだろうか。

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