第11号(2013年6月15日)

道志真弓さんの長女・弓(ゆみ)華(か)ちゃんは14トリソミーという世界に30例しかない難病を持って生まれた。その上心臓に穴が4箇所空いていたため、泣くと無酸素状態になり命にかかわる。

そんな弓華ちゃんが母親の愛情に包まれて8年8カ月の命を生きた記録を綴った『笑顔の戦士』(文芸社刊)は、私たちの「いのち」とは何なのかを深く考えさせる

▽不妊治療をやめ、子供を持つことをあきらめていた。そこへ妊娠。天から授かった命は幾つもの難病をかかえており、生きて生まれてきたことが奇跡だった

▽重度の障害児と知らされて泣き続ける真弓さんに主人が言った。「流産しないでちゃんと生まれてきて泣いたりしているんやで。いまがいいんちゃう?」。その言葉がきっかけになって、母親は再び上を向いた。それからは前向きな本来の自分を取り戻した。泣けない、歩けない、話せない。赤ちゃんのままの弓華ちゃんは、車椅子で外出するのがとても好きだった。冷たい外気に触れると、無邪気な笑顔になった。「日々の緊張の連続の中で、私ががんばってこられたのは、弓華の笑顔のおかげだった」

▽真弓さんが目を閉じれば、今も「いろんなゆみちゃんが、いつでも私に微笑みかけてくれる」。

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