第10号(2013年4月15日)

明治維新から百年目の1968年頃、一つの疑問が提起された。「消費は美徳か?」(全国師友協会『師と友』誌)。

当時は第二次高度経済成長の真っ最中。国民の購買力を刺激することが経済成長を促すのだから消費は美徳だというのが経営の神様、松下幸之助の主張だった

▽消費を伸ばすためには人間の欲望を刺激すべきで、「有り難い」とか「小欲知足」といった道徳心は経済成長の妨げになる。「節約」や「修理」はナンセンスで、生活スタイルが「古い物を捨てて新品を購入する」という方向に変わって今に至る。道徳と経済の両立は無理なのか

▽財政出動というカンフル注射は、「美徳」である消費を刺激するための政策である。輸出が増え株式・金融・建設などに大量の資金が流れるが、消費増税で生活弱者にどこまで恩恵が及ぶのだろう。バブルが弾けて庶民の生活が更に悪くなるということがあってはならない

▽「世界一の資産大国」である今なら、日本は先進国に先駆けて国家百年の大計をどのようにでも創ることが出来る。一滴の水にも生命を見、一粒の米に天地自然の恩恵を感謝する「ポスト近代文明」の共創こそが、今の日本人に課せられている使命ではないだろうか。

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