第6号(2012年10月15日)

「夫婦仲が良くないといい糀(こうじ)は出来ません」という言葉をおばあさんから聞いて、ずっと耳に残っていたという。

京都精華大学元教授の槌田劭(つちだたかし)氏は、実際に自家製の味噌を造ってみて、この言葉の意味を悟った。時々刻々と変化する糀に、恋人の如く足繁く通わないと、いい糀が出来ない。それは、仲の良い夫婦が相手を思いやるようなものだと

▽槌田氏は京都大学工学部助教授時代に学園紛争に遭遇。「専門バカ」という言葉に感ずるところがあり、その後京大を離れて「生活者」の視点を持つようになった

▽平井孝志氏は「生命(いのち)の系」の科学を提唱し、鉱物中のミネラル(微生物)を物の如く扱う「物質の系」の科学に疑問を持った。槌田氏と平井氏と通底するのは、存在そのものへの畏敬の心である

▽「神聖な経済学」を提唱するアイゼンスタイン氏(米)は、「人間は人材でも財産でもない」と喝破した。全てをお金(マネー)に換算して奴隷人間をつくる非人間的経済の時代は終焉を迎えようとしており、これから「再結合」の時代が来るという。新しい経済は分断ではなく繋がりあう「分け合い経済」である。糀造りのワクワク感を誰もが実感できる「生命の系」の共福時代がすぐ近くに来ている。

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