第5号(2012年9月15日)

坂本龍馬を現代に蘇らせたのは司馬遼太郎の名著『龍馬がゆく』である。

NHKの大河ドラマにもたびたび登場した龍馬の人気は抜群だ。大西郷は、龍馬を「天下に有志あり、余多く之と交わる。然れども度量の大、龍馬の如くのもの未だ嘗て之を見ず。龍馬の度量や到底測るべからず」と、最大の賛辞をもって評した。では龍馬の真骨頂は何だったのか

▽それを解き明かす鍵が『龍馬がゆく』の「あとがき」に出ている。船中八策を起草して大政奉還の無血革命を成就させた大功労者の龍馬は、「『自分は役人になるために幕府を倒したのではない』と、このときいい、陪席していた陸奥宗光が龍馬のあざやかなほどの無私さに内心手をうってよろこび」云々と

▽龍馬は儒学者の横井小楠に通算6度にわたって会い、その影響を強く受けた。幕末の小楠は「全地球の公論」「全地球の全論」という言葉を既に使っていた。翻って今の日本のオピニオンリーダーを見るに、議論の範囲のあまりの狭量さに悄然とする

▽龍馬の眼中に徳川家はなく、「世界の中の日本」を創るために犬猿の仲の薩摩と長州を仲直りさせ、幕臣の勝海舟とも繋がった。龍馬の大局観と無私を兼ね備えた21世紀の坂本龍馬よ出でよ!

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